
先日、立ち寄った本屋さんで「冷静と情熱のあいだ」が目に留まり、久しぶりに読み返した。
初めて読んだのは大学生の頃。
この本に出てくるお酒―アマレット(Amaretto)を一度味わってみたくて、社会人になって一人暮らしを始めたとき、近所のバーへ飲みに行ったことを思い出した。
グラスの中でほのかに香るアーモンドのような甘い香りに、
「これが、あの本に出てきたお酒か……」と、
ふだん飲まないお酒を飲んで、大人になった気分を味わった。
久しぶりに読み返すと、当時とはまったく違う気持ちで物語を追っている自分に気づく。
学生の頃は恋の行方ばかりが気になっていたのに、
今は登場人物たちの「すれ違う時間」や「言葉にできない想い」のほうに心がとまる。
相変わらずお酒は飲めないけど、本を読み返したらもう一度味わってみたくなった。